2022年3月27日 (日)

3月最後の日曜日。 随分と暖かくなった。コートを羽織らないだけでこんなにも身体が軽い。 2階の窓から見えるクスノキが、風が吹くたびに紅葉した葉を落としている。 そんなに珍しい樹でもないのに、彼等が春、新しい葉を芽吹きつつ葉を落とすなんて知らなか…

Godotを待ちながら

私は、多くのせっかちな関西人同様、待つのが好きではない。 1時間待つローカル電車より、3minおきに来る山手線の方がいいし 2時間待ちがざらなテーマパークより、さくさくアトラクションを回れる遊園地の方が好きだ。 マックはモバイルオーダーで待ち時間を…

ただ二人の関係性を抱きしめ合えるなら

10年くらい前のよく晴れた冬の日、友達と山梨に向かうクルマの中で、「結婚式の前夜に恋人と聴きたい曲」というテーマでイチオシの音楽をかけ合う遊びをしたことがある。 サブスクの音楽配信サービスなんてなかった当時、僕たちはそれぞれのiPodをカーステレ…

アカメガシワの見える窓

君たちがはじめて来たときのことをよく覚えている。いくつ物件を見てきたのか、不動産屋は少しくたびれた顔をしていた。どんな赤ん坊も泣き出しそうな冷たく暗い雨の日で、がらんどうの401号室は客人をもてなすにはいささか冷えすぎていた。君たちのうち一人…

桃山南口にて

小学校2年生から4年生くらいまでの間、時たま学校を午前休みして通った小さな診療所がある。 といっても病気だったわけでも虚弱体質だったわけでもなく、 母に連れられるがままひと月かふた月に一度、 出町柳駅から京阪本線に乗り、中書島で宇治線に乗り換え…

琵琶、枇杷、びわ

夫と二人で、リレーエッセイの真似ごとのようなものを始めよう、という話になりました。 以前からこの手の話は何度かしていたのですが、なんとなく機が熟したような気がしてアカウントを開設しその勢いで書いています。 夫との共通点は、相違点と同じくらい…